ダルビッシュ 成績 防御率 1〜15試合の分析 セイバーメトリックス[Part 1]〜ダルビッシュのストライク率とBB/K(与四球/奪三振)【ダルビッシュ 防御率】 [ダルビッシュ 防御率]
●ダルビッシュの成績をセイバーメトリックスする [Part 1]
本場アメリカでは、表面では見えにくい選手の実績を
単なる勝敗や防御率、印象などに寄らず、いろいろな角度の数字を集めて分析することで、
正当に選手の実績と実力を評価する手法として「セイバーメトリックス」がある。
メジャーリーグでは1983年以降から一部の球団で採用され始めた。
【「セイバーメトリックス」とは】(以下、Wikipediaより一部引用)
アメリカ軍隊を退役後、缶詰工場に警備員として勤務していたジェームズは
「夜勤の暇つぶしに」自分の趣味である野球データの分析をしていた。
これが、セイバーメトリックスの始まりである。
彼は1977年に『野球抄 1977-知られざる18種類のデータ情報』という
68ページの小冊子を自費出版した。しかし、その時の購入者はたった75人であった。
この本でジェームズは「エラーという概念が実情にあっていないこと」など
従来の常識を覆す仮説の提示と分析を行った。
『野球抄(やきゅうしょう)』は、
この時期のコンピュータの発達によって野球データ分析の自由度が増し、
年を重ねるごとに購読者を増やしていき、分析を行うファンの数も増えていった。
その後、ジェームズはこのデータ分析を”セイバーメトリックス(SABR metrics)"と名づけた。
アメリカ野球学会の略称 SABR(Society for American Baseball Research)と
測定基準(metrics)を組み合わせた造語である。
その後ジェームズの『野球抄』は、アメリカNo.1のスポーツ専門雑誌
「スポーツ・イラストレイテッド」のライターの目に留まり、
1982年にニューヨークの出版社から販売されベストセラーとなった。
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こうして、メジャーリーガーの実績を冷静に分析するきっかけとなり、
「ジェームズ理論=セイバーメトリクス」がMLBに徐々に浸透し始めた。
ようやく、メジャーリーグのチームがチーム戦略の一環として本格的に
セイバーメトリックスを採用し始めたのは1997年、
アスレチックスのGMとなったビリー・ビーン(*1)からだ。
いつの時代も新しい理論が一般に理解されるまでには、長い年月を擁する。
1977年に生まれたセイバーメトリクスが、MLBの実践現場で生かされるまでには、
結局、20年の歳月を要することとなったわけである。
※オークランド・アスレチックスのGM:ビリー・ビーン氏
Photo by Brett Farmiloe
(*1)ノンフィクション『マネー・ボール』(マイケル・ルイス著)で日本にも紹介された。
2011年には映画化もされているマネーボール [ ブラッド・ピット主演 ]
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では、ダルビッシュのメジャーリーグ 公式戦 前半戦 全試合(1〜15試合)の成績を整理してみる。
【ダルビッシュのS(ストライク)率とBB/K(与四球/奪三振)、防御率の関係】
※ここでの防御率は、1試合ごとの数字。通算防御率ではない。
※BB/Kとは、[奪三振数(K)÷与四球数(BB)]のこと。BB=Base on Balls(四球)/K(三振)
BB/Kの評価基準は、4.0以上がエース級、1.5以下が危険レベル
■第一期------------------------------------------------------------------------------
【1試合目・初勝利(ホーム)】シアトル・マリナーズ戦 4月10日
投球回:5回⅔、投球数(S:率):110(59/54%)、被安打:8、
奪三振:5、与四球:4、与死球:1、BB/K:1.25、自責点:5、防御率:7.94
【2試合目・勝敗なし(ビジター)】ミネソタ・ツインズ戦 4月15日
投球回:5回⅔、投球数(S:率):102(60/59%)、被安打:9、
奪三振:4、与四球:4、与死球:1、BB/K:1.00、自責点:1、防御率:1.58
【3試合目・2勝0敗(ビジター)】デトロイト・タイガース戦 4月20日
投球回:6回⅓、投球数(S:率):121(70/58%)、被安打:2、
奪三振:5、与四球:5、与死球:0、BB/K:1.00、自責点:1、防御率:1.42
【4試合目・3勝0敗(ホーム)】ニューヨーク・ヤンキース戦 4月24日
投球回:8回⅓、投球数(S:率):119(82/69%)、被安打:7、
奪三振:10、与四球:2、与死球:0、BB/K:5.00、自責点:0、防御率:0.00
【5試合目・4勝0敗(ビジター)】トロント・ブルージェイズ戦 5月1日
投球回:7回、投球数(S:率):104(59/57%)、被安打:4、
奪三振:9、与四球:2、与死球:1、BB/K:4.50、自責点:1、防御率:1.28
■第二期------------------------------------------------------------------------------
【6試合目・4勝1敗(ビジター)】クリーブランド・インディアンス戦 5月7日
投球回:6回、投球数(S:率):112(63/56%)、被安打:6、
奪三振:11、与四球:4、与死球:0、BB/K:2.75、自責点:3、防御率:4.50
【7試合目・5勝1敗(ホーム)】ロサンゼルス・エンゼルス戦 5月12日
投球回:5回⅓、投球数(S:率):93(57/61%)、被安打:3、
奪三振:7、与四球:3、与死球:1、BB/K:2.33、自責点:3、防御率:5.06
【8試合目・6勝1敗(ホーム)】オークランド・アスレチックス戦 5月17日
投球回:7回⅔、投球数(S:率):118(73/62%)、被安打:4、
奪三振:7、与四球:2、与死球:0、BB/K:3.50、自責点:1、防御率:1.17
【9試合目・6勝2敗(ビジター)】シアトル・マリナーズ戦 5月22日
投球回:4回、投球数(S:率):96(56/58%)、被安打:4、
奪三振:5、与四球:6、与死球:0、BB/K:0.83、自責点:4、防御率:9.00
【10試合目・7勝2敗(ホーム)】トロント・ブルージェイズ戦 5月28日 ※日米通算100勝目
投球回:5回、投球数(S:率):93(54/58%)、被安打:7、
奪三振:3、与四球:3、与死球:0、BB/K:1.00、自責点:3、防御率:5.40
■第三期------------------------------------------------------------------------------
【11試合目・7勝3敗(ビジター)】ロサンゼルス・エンゼルス戦 6月3日
投球回:6回⅓、投球数(S:率):111(71/64%)、被安打:5、
奪三振:7、与四球:3、与死球:0、BB/K率:2.33、自責点:2、防御率:2.84
【12試合目・7勝4敗(ホーム)】オークランド・アスレチックス戦 6月8日
投球回:5回⅓、投球数(S:率):110(61/55%)、被安打:6、
奪三振:4、与四球:6、与死球:1、BB/K:0.67、自責点:6、防御率:10.12
【13試合目・8勝4敗(ホーム)】ヒューストン・アストロズ戦 6月16日
投球回:8回、投球数(S:率):110(76/69%)、被安打:7、
奪三振:11、与四球:2、与死球:0、BB/K:5.50、自責点:2、防御率:2.25
【14試合目・9勝4敗(ビジター)】サンディエゴ・パドレス戦 6月21日
投球回:8回、投球数(S:率):122(81/66%)、被安打:5、
奪三振:8、与四球:3、与死球:0、BB/K:2.67、自責点:2、防御率:2.25
【15試合目・10勝4敗(ホーム)】デトロイト・タイガース戦 6月27日
投球回:7回、投球数(S:率):113(72/64%)、被安打:4、
奪三振:10、与四球:1、与死球:1、BB/K:10.00、自責点:4、防御率:5.14
⇒ ダルビッシュ 成績 メジャー【全試合の結果】は、こちらでまとめています。
次に全15試合を5試合ごとに「1~5試合/6~10試合/11~15試合」の3期に分けてみた。
さらに、各期の1試合平均の数字を算出。
最後に、3期を成績順に①〜③(1位〜3位)とした。
◆[勝 敗]--------------①1~5試合:4勝0敗、②6~10試合:3勝2敗、②11~15試合:3勝2敗
◆[勝率平均]------------①1~5試合:1.0、②6~10試合:0.67、②11~15試合:0.67
◆[投球回数平均]-------②1~5試合:(33回)6.6回、③6~10試合:(28回)5.6回、①11~15試合:(34回⅔) 6.9回
◆[投球数平均]---------②1~5試合:(556球)111.2球、③6~10試合:(512球)102.4球、①11~15試合:(566球)113.2球
◇[ストライク率平均]--②1~5試合:(330球)59.4%、③6~10試合:(303球)59.2%、①11~15試合:(361球)63.8%
◇[被安打数平均]-------③1~5試合:(30)6.0、①6~10試合:(24)4.8、②11~15試合:(27)5.4
◇[奪三振数平均]-------②1~5試合:(33)6.6、②6~10試合:(33)6.6、①11~15試合:(40)8.0
◇[与四球数平均]-------②1~5試合:(17)3.4、③6~10試合:(18)3.6、①11~15試合:(18)3.6
◇[BB/K平均]-----------③1~5試合:1.94、②6~10試合:1.83、①11~15試合:2.22
※BB/K=K(三振)÷W(与四死球) 4.0以上でエース級、1.5以下が危険レベル
◇[防御率平均]-----------①1~5試合:(8失点)2.18、③6~10試合:(14失点)4.50、②11~15試合:(16失点)4.15
※防御率=自責点×9÷投球回数
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※4月10日、テキサス・アーリントンのレンジャーズ・ボールパークで
シアトル・マリナーズ相手にメジャーデビューの初戦で投げるダルビッシュ
この試合で、メジャー初勝利を上げた
ダルビッシュの気になるデータは、ひと通り並べてみた。
さて、ここからこれからのダルビッシュの調子をどう予測していくのか?
方程式によって、その答えは違ってくるので、独自の方法をあてはめて行きたい。
◆ダルビッシュの成績は[勝率]と[防御率]だけを見ればいいのか?
単に、ダルビッシュの[勝敗]だけで見ていくと、デビュー戦から5試合の[第一期]の時期は
確かに圧倒的な数字 4勝0敗を残しており、防御率も2.18と安定しているが、
ストライク率は 59.4%、被安打数 6.0と多く、奪三振数は 6.6でBB/Kが1.94と低い。
逆に、[第三期]の11~15試合は 3勝2敗で防御率 4.15だが、
ストライク率は 63.8%に上がり、被安打 5.4と減り、奪三振数は 8.0に増え、BB/Kが 2.22と上回っている。
[第一期]と比較して、[第三期]の防御率の4.15と勝敗数だけを見ると
誰が見てもダルビッシュの成績は、だんだん悪くなっているようだ。
しかし、ダルビッシュが登板してきた試合のピッチングを見てきた人なら気がつくはずだ。
ダルビッシュのボールの切れが増して来ていることを。
[第一期]は、ボールの滑り具合を確かめるように、
変化球でストライクを取りに行くシーンが多かった。
ところが、[第二期]から[第三期]は、
変化球に加え徐々に切れのあるストレートで三振をとるシーンが増えている。
一試合平均、[第一期・第二期]には6.6だった奪三振数が、
[第三期]に8.0へ一気に増えている。
このことから、ダルビッシュのピッチング内容自体が、
徐々に良くなってきていることが、伺える。
次回は、何度もこのブログで触れてきた
「ストライク率と与四球」の関係、「BB/K」から見てみる。
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【ダルビッシュの通算成績 メジャー 2012】メジャーリーグ公式戦 8月20日現在
試合数:23 防御率:4.51 12勝9敗 投球回数:147回⅔ 被安打:130
奪三振:172 与四球:79 与死球:9 失点:79 自責点:74 BB/K:2.18
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がんばれ、ダルビッシュ!メジャーリーグの道
ダルビッシュ 成績 防御率 1〜15試合の分析 セイバーメトリックス[Part 1]〜ダルビッシュのストライク率とBB/K(与四球/奪三振)【ダルビッシュ 防御率】
ダルビッシュ 登板予定 2012~メジャーリーグの道
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